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施政方針について

令和5年度施政方針をご覧いただけます。

 本日ここに、令和5年東根市議会第1回定例会において、新年度予算を始め、重要案件の審議をお願いするにあたり、私の市政運営に対する所信の一端を申し上げ、市議会並びに市民の皆さまのご理解とご支援を賜りたいと存じます。

 

 コロナ禍での暮らしも四年目を迎えました。収束の兆しは未だ見えませんが、感染をやみくもに恐れた時期は過ぎ、私たちはこの一年、ワクチン接種や基本的な感染対策を心掛けながら、社会経済活動の幅を少しずつ押し広げる挑戦を続けてきました。

 

 東根の夏を彩る「ひがしね祭」は、3年ぶりに有観客で屋外開催したほか、秋の一大イベントである「た~んとほおバルフェスタ」も、同じく3年ぶりに開催、「東根市民立大学タントまなべ学園」においては参加者数を大幅に増員しての開催に至りました。これらは、常日頃からの市民の皆さまの感染対策に対するご理解とご協力、そして医療関係者の皆さまのご尽力の賜物であり、あらためて感謝申し上げる次第であります。まだまだ本来の姿ではないものの、久しぶりの賑わいを創出し、市民の皆さまの楽しそうな笑顔に触れることができたことは大きな前進と捉えております。

 

 感染の拡大と鎮静化を繰り返してきたこの間、私たちは様々な経験から感染症との向き合い方について多くを学んできました。国の感染症法上の位置づけも変更されようとしております。新年度においては、さくらんぼマラソン大会のリアル開催をはじめ、市民の皆さまの笑顔に触れる機会を一つでも多く創出できるよう、ウィズコロナ時代のイベント等のあり方や、さらなる社会経済活動の活性化に向けて、慎重かつ前向きに検討してまいります。

 コロナ禍に加え、円安とウクライナ危機などの国際情勢に起因してエネルギー価格、食料価格が上昇し、物価全体を押し上げています。生産活動におけるコスト高の半面、円安による輸出型企業の増収など、流れは一方向ではありませんが、実質的な所得が減少し、私たちの暮らしを脅かしているのは確かです。

 そのため、令和4年度は、ひがしね子育て応援給付金支給事業や燃料費高騰対策等事業継続支援事業など本市独自の緊急対策を実施してまいりました。これからも市民生活と地域経済を守るという、基礎自治体の責務を果たすべく、生活者の視点、働く人の視点に立ってきめ細かな対策を講じてまいります。

 

 「さくらんぼにこだわったまちづくり」は、私が市長に就任以来、一貫して推進してきた施策の一つであります。「さくらんぼ東根駅」というネーミングを始め、「東根さくらんぼ」としてのGI保護制度への登録など、数々の取り組みを実現させてきたことで、押しも押されぬ「さくらんぼのまち」としての地位を確立させたのであります。

 この本市の宝であるさくらんぼは、昨年大きな節目を迎えました。東根市発祥のさくらんぼ「佐藤錦」が結実してから100年を迎えたのであります。先人たちの測り知れない苦労や代々受け継がれてきた生産者の方々の努力を思うと、感慨もひとしおでありました。佐藤錦発祥の地として、またさくらんぼ生産量日本一のまちとして、そして「さくらんぼにこだわったまちづくり」を進めるまちの長として、改めてさくらんぼへの思いを強くした年となりました。

 新年度は、このような強い思いのもと、さくらんぼを中心とした本市の果樹農業のさらなる振興と、生産性の高い産地づくりを推進するため、果樹生産に係る施設整備等の支援に取り組んでまいります。これにより生産者の所得向上、経営基盤の強化を図るとともに、生産者の生産意欲を高め、「果樹王国ひがしね」のさらなる発展に向けた、新たな一年目の契機とするものであります。

 

 本市は、平成13年の東根市環境基本条例の制定を皮切りに、環境ISO14001の認証取得、レジ袋の有料化、太陽光発電設備設置補助の創設など、時勢にかなった取り組みを継続して展開してまいりました。そして令和2年に、県内自治体で初めて「ゼロカーボンシティ」の宣言に至るなど、環境保全に対して積極的かつ先進的に取り組んできたことは、ご案内のとおりであります。宣言後においても、そのスピードを緩めることなく、省エネ住宅普及促進補助事業を創設するなど、継続した取り組みを進めております。

 このような状況の中、「2050年ゼロカーボンシティ」の実現に向けた意識の向上と、市民・事業者・行政が一体となって見据える2050年というゴールへの道標とするため、新たに「東根市地球温暖化対策実行計画」の「区域施策編」を策定しているところであります。新年度においては、この計画のもと、市民を対象とした省エネにかかる制度を創設するなど、目指すべきゴールへ向かって着実に歩みを進めてまいります。

 「豊かな環境 みんなが選ぶ 住みよいまち」 これは、本市の目指すべき都市像として、第5次東根市総合計画に掲げた言葉であります。この言葉が示すとおり、本市が今後も発展を続けるには、「豊かな環境のまち」であり続けなくてはなりません。市民・事業者・行政それぞれの一歩は小さいかもしれませんが、その小さな一歩一歩が豊かな環境を生むことにつながり、その継続の先に「2050年ゼロカーボンシティ」があるものと確信しております。

 

 本市を取り巻く環境は、目まぐるしく変化を遂げ、今日においては新型コロナウイルスや物価高騰を背景に、非常に厳しいものとなっております。しかし、たとえ難局であろうとも、将来を的確に捉え、愛する郷土「ひがしね」の発展を確かなものにするため、「誠実、公正、実行」の政治信条を胸に、全力を傾注してまいります。

 

 では、新年度の主な重点施策について、第5次東根市総合計画に掲げた体系に基づき、概要を説明いたします。

「みんな元気にいきいき暮らす健やかで住みよいまち」について

 本市はこれまで、「子育てするなら東根市」を継続して発信し、先駆的かつ充実した子ども・子育て支援策を展開してまいりました。「県内で最も勢いのあるまち」と評されるまでになったことは、これまでの取り組みが正しかったことを証明する、何よりの成果であります。

 しかしながら、全国的に少子化による人口減少が進むなか、社会増のみによる人口増加は、近い将来限界を迎えることは変えようのない事実であります。今後は、子どもを安心して生み育て、子どもが健やかに成長できる環境づくりを進めることが、より重要性を増し、若い世代に選ばれるための大きなポイントとなると捉えております。

 

 より早期に聴覚異常を発見し、健やかな発達につなげるとともに保護者の経済的負担軽減を図るため、分娩を取り扱う医療機関で実施する新生児聴覚検査について、費用の全額助成を行ってまいります。

 本市の子育て支援の拠点の一つである「さくらんぼタントクルセンター」について、長寿命化計画に基づく改修工事を継続して実施し、子育て支援機能の一層の充実を図ってまいります。

 また、国の子ども政策の転換にいち早く対応するため、「こども家庭センター」の設置等を見据えた組織体制の見直しを行います。

 

 子育て世代への支援を推進するとともに、高齢者の方々が「長生きするのも東根市」を実感できるよう、高齢者福祉の充実にも引き続き注力してまいります。

 高齢者の社会参加を促すために実施している「おでかけさぽーとタクシー事業」につきましては、新年度より、利用者の立場から、より使い勝手のよい内容に見直し、住む場所に関わらず高齢者が社会参加の機会を等しく得られるよう支援いたします。

 また、介護予防施策や地域における支援体制の充実を図り、住み慣れた地域でいきいきと暮らす環境づくりに、引き続き努めてまいります。

 

 昨年、ひがしねこども園が開園いたしました。公設公営の保育施設として、民間での受け入れが難しい障がいのある子どもや医療的ケア児の保育にも対応し、子育て分野における共生のまちづくりのための新たな一歩を踏み出したところであります。新年度は、これまでの保育の状況を検証し、年齢や医療的ケアの種類など受入要件を拡充してまいります。

 

 また、医療的ケア児の療育施設における受入の拡大に向けた取り組みを、新たに展開いたします。市内の医療的ケア児通所事業所を対象として、設備や備品整備に要する費用にかかる補助制度を創設し受入の拡大に努め、医療的ケア児の健やかな成長を積極的に支援してまいります。

「自然と環境を未来につなぐ安全・安心で快適なまち」について

 冒頭申し上げたとおり、ゼロカーボンシティの実現に向け、取り組みを強化いたします。新年度は、市民と一体的な取り組みを進める一環として、これまでの太陽光発電システムに加え蓄電池設置への補助拡充のほか、市民生活により身近な、省エネ家電への買い替えについても補助し、その普及促進と一人一人が環境に配慮した行動をとるきっかけとしていただくことなど、環境に対する意識の醸成を図ってまいります。

 また、行政においても、公用車に新たに電気自動車を導入するとともに、道路照明灯や市民体育館等の公共施設の照明について、省エネルギーかつ長寿命であるLEDに切り替えを進めるなど、環境負荷軽減に向けた事業に積極的に取り組んでまいります。

 

 令和2年7月豪雨を教訓として、地域防災力向上のため整備を進めてきた「西部防災センター」が昨年9月にオープンいたしました。避難所機能や防災備蓄機能、支援活動機能などを備えた防災拠点施設として、有事の際のみならず、防災訓練や研修が可能であることから、常日頃からの市民の安心に寄与するものと期待しております。

 

 また、市民の安全安心に資するための本丸である消防力の強化については、消防指令業務を、令和7年度より北村山三市一町で共同運用する体制を構築すべく、準備を進めております。災害発生時の情報の一元化や大規模災害時に広域的な連携を図るなど、相互応援体制を確立することで、本市はもとより北村山地域全体の災害対応力強化に寄与するものであります。また施設整備費や維持管理費等が低減され、財政上の効果も非常に大きいのであります。

 

 市民生活に身近な都市基盤の整備については、市民の安全性の確保と利便性・快適性の向上に向け、継続して取り組んでまいります。新年度は、市道五間通り線の無散水消雪施設の改修に向けた事業等に着手するなど都市基盤の充実を図ってまいります。

また、市民生活に密着したサービスを提供する上下水道事業については、上水道の老朽管更新や、豪雨による浸水被害の防止に向けた雨水幹線の整備等を引き続き進めるとともに、下水道普及の促進を図りながら、経営の健全化に努めてまいります。

 

 また、昨年10月、東北中央自動車道の東根北インターチェンジ・村山本飯田インターチェンジ間が開通いたしました。この開通により、最上地域から首都圏までが高速道路でつながり、地域救急医療活動の強化や地域経済の活性化など、地域の発展に大いに寄与するものと期待しております。

 東北中央自動車道という縦軸の道路整備が節目を迎えた今、改めて太平洋側と日本海側を結ぶ横軸としての国道48号の重要性・必要性は高まりを見せております。私が市長就任7期目にあたり公約として掲げた「国道48号のバイパス化」実現に向けた思いを新たにしたところであり、引き続き強力に運動を進める所存であります。

「力強く魅力いっぱいの産業と交流のまち」について

 農業従事者は年々減少しており、地域農業の発展のためには、新規就農者の確保が喫緊の課題であります。新年度は、その課題解決に向け、国の支援と合わせて、本市独自の支援策を新たに展開し、未来の本市の農業を担う新規就農者の経営基盤の強化を図るとともに、様々な制度を活用しながら新規就農者の確保に努めてまいります。

 また、冒頭申し上げたとおり、果樹の高品質で生産性の高い産地づくりと、農業者の経営基盤強化に向けた支援や、増加傾向にある有害鳥獣による農作物被害への対策を充実させるなど、本市農業の一層の振興に努めてまいります。

 

 コロナ禍の影響を最も受けた分野の一つが「交流・観光」であります。各種イベントや事業の実施においては、感染状況とウィズコロナを常に天秤にかけながら、慎重な判断のもと取り組んでまいりました。より活発な人と人との交流や誘客について等、イベント開催のあり方について引き続き検討してまいります。

 さくらんぼマラソン大会については、昨年まで中止やオンラインでの大会を余儀なくされてきたわけでありますが、今年は4年ぶりにリアル開催を決定したところであります。4年間楽しみにお待ちいただいた、全国のさくらんぼマラソンファンが、安全にそして安心して参加できる万全の環境を整え、20回目の記念大会参加者の皆さまの晴れやかな笑顔を、今年の東根市のハイライトの一つとしたい思いであります。

 また、地域経済の活性化を図るため、今後の新型コロナウイルスの状況等を踏まえ、必要な措置について積極的に検討してまいります。

 さらに、新年度は市内における新規創業者への支援を拡充し、市内への新規出店等を促すことで、地域経済の一層の活性化を図ってまいります。

 

 今や国民に定着した「ふるさと納税」は、本市のGI東根さくらんぼを軸とした強力な「果樹王国ひがしねブランド」を背景に、毎年着実に実績を伸ばしております。今後も、ふるさと納税や各種イベント、海外への販路拡大等を通して、全国そして世界に向けて、ひがしねブランドを発信し、さらなるブランド力の強化を図ってまいります。

「心豊かな人を育てる教育と文化のまち」について

  GIGAスクール構想の実現に向け、学校教育は大きな転換期を迎えております。個別最適化された学び、創造性を育む学びを推進する等を目的に進められているICT教育にあって、今やタブレット端末は児童生徒にとって身近な学習ツールとなり、1人1台端末を活用しながら進められる授業は、当たりまえの光景となりました。

 新年度は、このICT教育をさらに充実させるため、また今後本格導入が予定されているデジタル教科書を最大限活用する環境を構築するために、小中学校の全普通教室に電子黒板を整備いたします。視覚的に理解しやすい授業、双方向的な授業を構築することで、さらなる学びの深化を図ることができるものと大いに期待しております。

 学校現場における急速なデジタル化を様々な形でサポートするICT支援員の活躍の場は、前述の電子黒板の整備等により、一層増えることが想定されます。このことから、新年度においても各学校へのICT支援員の派遣を継続し、GIGAスクール構想実現に向け、ハード面での整備と並行して、ソフト面での取り組みも強化してまいります。

 また、令和6年の供用開始に向けた、神町中学校の校舎増築工事や、学校施設長寿命化計画に基づく小中学校施設の改修工事に引き続き取り組むとともに、第一中学校の校舎屋根の改修工事に新たに着手するなど、教育環境の整備充実を図ってまいります。

 

 大富地区に生息し、令和3年に命名された「カクレトミヨ」について、本市の新たなシンボルとして「市の魚」に制定しました。ここに至ることとなったのも、先人たちが守ってきたその生息環境を、長きにわたり地域をあげて保全し続けてきたからこそであります。市としても保全活動を継続し、カクレトミヨが市民一人一人の環境保全への意識向上のきっかけとなるとともに、末永く市民に愛される存在となることを願っております。

 

 大森山公園近郊に、令和6年にオープンを予定するクロスカントリーコースの整備を進めております。ウォーキングやランニングを行うための施設として、周辺の市民体育館、グラウンド・ゴルフ場などと連携し、本市のスポーツ環境及び魅力の向上を図ってまいります。

 

「市民みんなの力でつくる笑顔輝く協働のまち」及び「計画推進のために」について

 地域社会における課題が複雑・多様化している今日において、私が市長就任以来市政の基本姿勢として掲げる、「市民と協働のまちづくり」の重要性が増しております。地域が抱える課題解決への取り組み、あるいは本市の抱える行政課題に合致するような取り組みに対し、今後も「ともに築く地域未来創造事業」などを通して支援し、協働のまちづくりを実践するうえで極めて重要である、地域力の維持・向上に努めてまいります。

 

 また、全国の自治体と競い合っております移住施策についても、引き続き注力してまいります。これまで実施してきた数々の先駆的な施策が実を結び、人口が増加してきたことはご案内のとおりでありますが、なかでも周辺市町からの移住者数の多さには目を見張るものがございます。コロナ禍におけるリモートワーク等の浸透を契機に、首都圏からの地方移住が注目されるなか、この選ばれるまちとなった流れを、首都圏へも拡大を図ってまいります。本市の魅力、あるいは「ひがしね移住促進事業」をはじめとした移住施策等について、全国へ向け発信・展開することと併せて、地域おこし協力隊制度についても積極的に取り入れることで、関係人口の拡大、ひいては移住・定住者の増加を図ってまいります。

 全国的にデジタル化の必要性や優位性が大きくクローズアップされ、新型コロナウイルスの存在がそれに拍車をかけております。「リモート会議」や「キャッシュレス決済」等は、新型コロナウイルスが普及を促進させた副産物として、皮肉にも今や私たちの生活にはなくてはならないツールとなり、日常に溶け込んでおります。

 本市においても、昨年、行政手続きのオンライン化やプレミアム付き商品券をデジタルで発行する等、市民目線に立った身近なデジタル化を実施してまいりました。新年度においては、口座振替手続きを市役所の窓口のみで完結させられるサービスを導入するなど、行政デジタル変革を一層推進し、さらなる市民の利便性向上や業務の効率化を図ってまいります。

 また、SNSを駆使した情報発信をさらに充実させ、より迅速かつ便利に情報を入手できる仕組みづくりに努めてまいります。

 

 これまで申し上げてまいりました各種施策を持続的に展開していくためには、安定した強固な財政基盤を確立させることが必要不可欠であります。

 しかしながら、歳入の根幹を成す市税収入は、新型コロナウイルスの影響を拭い去るまでには到底至らず、併せて歳出は、物価高騰の影響により増大することは避けられません。このように、財政を取り巻く状況には非常に厳しいものがありますが、市政の停滞はひとときも許されません。今や自治体の大きな収入源となっているふるさと納税のさらなる確保や、有利な起債の積極的な活用等により、最大限の収入確保に努めてまいります。一方歳出については、引き続き選択と集中により、事業費の重点的な配分と効率的な執行に努めることを徹底し、持続可能な財政運営をすすめてまいります。

 

 私は、これまでも市民の声を聴き、市民目線での施策を実行してまいりました。7期目となった今でも、この姿勢を貫くことに変わりはありません。今後とも本市発展のため、市民の皆さまの負託に対して、力の限り仕事で返してまいる所存であります。

 

 議員各位並びに市民の皆さまのご理解とご協力をお願い申し上げ、令和5年度の施政方針といたします。

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